DAISUKE NAKAJIMA

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データシート

2007年フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)

第17戦&第18戦・鈴鹿サーキット・フォーミュラ・ニッポン第9戦

距離:5.803km×12周+17周(第18戦は赤旗中断により、2周+14周の2ヒート制)
第9回公式合同テスト  :11月16日 曇り・観衆  − 人( 未発表 )
公式予選&第17戦決勝 :11月17日 晴れ・観衆  11,500人( 主催者発表 )
第18戦決勝       :11月18日 晴れ・観衆  23,000人( 主催者発表 )

最終戦鈴鹿 第18戦3位表彰台 シリーズ5位となる。

第17戦 予選19位  第18戦 予選9位
第17レース 21位  第18レース 3位

07FCJ最終戦は好天に恵まれた鈴鹿。様々なコースを
回りレベルアップしてきた各ドライバーの最終決戦。

クリアラップをなかなか取れず、17戦の予選は19位。
18戦予選は9位。

最終戦は、荒れたレースとなる。
その中で、最終ラップまでトップを走行するが。。。

結果は3位。シリーズ5位となった。

全4サーキット、18レースを戦うフォーミュラチャレンジ・ジャパンも、11月17〜18日でとうとう最終レースを迎えた。舞台となるのは開幕戦と同じ鈴鹿サーキット。様々なキャラクターのコースを回り、レベルを上げてきた各ドライバーは、最後の舞台とあってそれぞれが激しいレース繰り広げていた。中嶋大祐もそれは同じ。日曜日に行われた最終戦では6番グリッドから驚異的なスタートでポジションを上げてトップに立つと、観客席を大いに沸かせるレースを展開した。 土曜日は、雲ひとつない快晴に恵まれた。空気は冷たいが日差しは強く、予選時のコンディションは気温17度、路面温度22度。定刻どおりにセッション開始となり、全車が一斉にコースイン。しっかりとタイヤを温め、これからアタック開始、というまさにその時、立体交差を過ぎた辺りで1台がクラッシュ。即赤旗中断となってしまった。10分後に再開された予選の、残り時間は8分ほど。1周のラップタイムが2分を超えるFCJでは、残るアタックチャンスは3ラップしかない。

それは、中嶋自身も承知していた。1ラップ目はウォームアップに使い、2ラップ目はアタックに邪魔になりそうなクルマを避けるのに使ってしまった。勝負は3ラップ目。しかし、遥か前方にいたはずのマシンが、コースアウトし、戻ってきたのは、中嶋の目の前。僅かに、スピードを緩めるしかなかった。結果、予選19位。菅生での20位に続くワーストグリッドだった。 10分のインターバルを挟んで2回目の予選。これで今シーズンの予選セッションも最後。なんとかいい結果を出したい。気持ちをしっかり切り替えて、コースインの合図も待ち遠しくピットを後にする。今度は、周りの影響なくクリアラップでアタックできた。渾身のアタックでマークしたタイムは、2分4秒415。トップ10内のグリッド9位を確保した。 第17戦決勝は、土曜日の午後にスタート。19番グリッドの中嶋は、いいスタートを見せていくつかポジションアップしたが、逆バンクで後ろから来たマシンがイン側に入りこみ、並走状態になった。続くダンロップコーナーでは、中嶋がアウト側。 非常に高速コーナーなため、相手が外側に少しはらんだ。接触を避けたい中嶋も、自然とアウト側へ寄る形になる。そこで少し縁石に乗り上げてしまい、スピン。最後尾に近いところまでポジションを落とした。必死に追い上げるも後方集団に引っかかり、21位でレースを終える。ペースの上がらないオープニングラップで、相手を封じ込められなかった。第17戦決勝は、それが全てだった。泣いても笑っても、残りは1つ。有終の美を飾れることを、中嶋は誓った。 翌日曜日も、土曜日と同じく空は快晴だった。しかし、1つ違っていたのは、風の強さだった。時折、体が持っていかれるほどの強風が吹く。ホームストレート上は、強い追い風が吹いていた。これが、レース全体を大きく混乱させる要因の一つとなった。定刻どおりにレースはスタート。前日同様抜群のスタートを決めた中嶋は、9番グリッドから5番手に浮上する。惜しくもスプーンコーナーで後ろのマシンに先行を許し、オープニングラップは6番手でコントロールラインを走り抜けた。トップ集団がコントロールラインを抜けた、ちょうどそのとき。西コースでとんでもないことが起きた。1台のマシンがバックストレッチでガードレールにヒット、マシンが大破したのだ。すぐさま赤旗が掲示され、レースは一時中断。自力でマシンから抜け出したドライバーがモニターに映ると、観客は安堵の息を漏らした。 レースは2ヒート制がとられることになり、中嶋の新しいスターティンググリッドは6番手。もう一度あのスタートを決めればトップも見える位置だ。フォーメーションラップを終えて、14周のレースがスタート。ここで中嶋は、先ほどよりも抜群のスタートを決めた。それは、後に記者会見で「自分でも驚くぐらい」と中嶋自身が語るほどだ。

 そして、土曜日の予選。夜に雨が落ちてきてはいたものの、路面はすでに乾いていた。全車がセッション開始と同時にコースに入っていく。中嶋はコースインから2周でタイヤを温め、アタック開始。13番手タイムをマークした。その後、4周目に僅かにタイムを削ったが、終わってみれば18位。10分間のインターバルをおいての2回目の予選では、最終アタックで16番手に食い込むのがやっと。やはり「新品タイヤの使い方」に苦戦した形となった。しかし、ユーズドタイヤでのラップタイムは上位陣に引けをとらなかった。勝負は決勝だ。

そのスタートで、6番グリッドから2番手に浮上したところで、後方集団に接触アクシデントが起き、今度はセーフティカーが導入されることに。赤旗中断に続きセーフティカー。今日のレースは荒れているなと誰もが思っていたが、それだけでは終わらなかった。再スタートが切られた直後、中嶋の目の前、トップを走るマシンがトラブルにより単独でスピンを喫したのだ。これで中嶋は、予想外のトップに立つこととなる。急に目の前が開けた中嶋は戸惑った。その戸惑いが僅かなミスを誘い、すぐさま2台にかわされ3番手に後退する。中嶋は、ミスもさることながら、今週末は平均的に自分のペースが遅いと分かっていたので、この結果は仕方ないと感じていた。しかし、またもや事態は大きく変わってしまう。  中嶋からトップを奪ったマシンが自らのミスで4番手に後退、更にもう1台も、ドライビングスルーペナルティを受けることになったのだ。9周目に、再びトップに返り咲いた中嶋は、やはり戸惑いを拭うことはできなかったが、のどから手が出るほど欲していた5勝目に向けて、ペースの上がらないマシンを必死に操った。残りは5周。背後からは、優勝でシリーズチャンピオンを決めたい国本京佑が迫ってくる。13周目のスプーンカーブで一瞬並ばれたが、必死に前をふさいだ。お互いに、接触でレースを終えたくない。中嶋、国本の順でファイナルラップに入った。最後のスプーンでは、国本は仕掛けてこなかった。この瞬間、中嶋の脳裏にはチラリと「5勝目」が浮かんだ。しかし、その一瞬が、命取りだった。僅かな、ほんの僅かなミスでリアが不安定になった。一瞬マシンがぐらつき、スピードが緩む。国本は、待っていましたとばかりに横を掠めていく。更にもう1台、中嶋の横を抜けていった。中嶋は、3位に後退してチェッカーを受けることとなった。 欲しかった5勝目は、目の前から消えてしまった。表彰台に上がった中嶋の表情からは、悔しさが伺える。しかし、記者会見では気持ちを切り替えて晴れ晴れとしていた。むしろ、大混戦となった最終戦で、ペースの上がらないマシンで、3位に生き残れた自分の力を認めたのかもしれない。 「最終ラップまでトップを走れたのは、神様がくれたプレゼントかもしれないですね」と語った中嶋の表情は、スッキリとしていた。

中嶋大祐選手コメント

「今までと違って、突然そのポジションに放りこまれた1位だったので、気持ちの部分で準備ができていなくて、ずっとハラハラしたままトップを走っていました。それが、最後の最後で抜かれた原因でしたね。今週末はずっと調子が良くなくて、そんな中で3位に生き残れたのは良かったとは思うのですが、偶然とはいえ立てたトップを守りきれなかったのは、僕に力がなかったから。満足すべき結果ではないですが、納得すべき結果だと思います。 今シーズンはすごく浮き沈みの激しい1年でした。最終戦も、このシーズンを象徴するようなレースでしたしね。ただその中で、1番多く勝てたということで、調子が良いときの速さは見せられたと思います。 もちろんコンスタントに結果を出さなければシリーズは争えないけれど、お客さん含め周りで見てくれた方々に、多少(自分の将来への)可能性を見せることができたかなと思います。」